ハンドルとリムを理解する・組み立てる
ハンドルとリムを理解する
少し弓の歴史を振り返ってみましょう。1960-1970年代に登場する現在みなさんが使用している弓はテイクダウンボウ(3ピースボウ)・金属ハンドル・高性能のリムの3つの進化をベースとしています。
それまでの弓は、ワンピース(分解不可)・ウッドハンドル・ウッドリムから構成されています。そのために、チューニングすることはほぼできず、ブレースハイトを変更する程度のチューニングしかできず、弓の精度は作り手の技術に依存していました。
ワンピースボウは分解ができないので、運搬時はかなりのサイズとなります。68インチなら、ほぼ170cmです。また、ハンドルは耐久性がありますが、リムはハンドルに比べれば非常に寿命が短く、耐久性に問題がありました。そこで考案されたのがテイクダウン(Take-down)と呼ばれる分解できるタイプの弓です。当時は2ピースボウ(弓の真ん中から分解)もありましたが、現在では競技用ですべてハンドルと2つのリムからなる3ピースボウです。
これにより、リムだけ買うことで、1.弓のポンド・サイズの変更、2.リム故障時にリムだけの交換、3.分解しての運搬68インチの弓も70cm程度のケースで運搬出るようになります。
この反面、都度、弓はハンドルとリムに分解され、購入時とは違うリムとのペアで使用されたり、ハンドルとリムでメーカーが違う可能性もあるので、このタイプの弓では性能を引き出すためにはチューニングが必要になります。ブレースハイト/ティラーハイトのチューニングなどがそうです。
テイクダウンボウが登場した1965年はまだダクロンという素材の弦が使用されていました。今でも、柔らかく、指への負担が少なく、腕にあたっても、比較的痛くないので初心者用の弓では使用されていますが、その弦は非常にストレッチ(*)するもので、手で伸ばしても、165cmの弦なら1cmは伸びます。そのためにチューニングをきっちり1mm単位で行う必要はありませんでした。
*弦が力によって伸びた時、力を加えなくなったら戻る場合はストレッチと呼ぶ。力を加えなくなっても戻らなくなった状態をクリープと呼ぶ。ストレッチはシューティングの精度を低くする。クリープには定期的チェックで対応し、一定期間で新しい弦に交換する必要がある。
その後、金属ハンドルや高性能のリムの登場とともに、ダイニーマ(UHMWPE)弦をアーチェリーで使用する事ができるようになります(*)。その弦はストレッチもクリープも非常に少なく、チューニングの再現性が飛躍的に高まりました。ファインチューニングとも呼ばれる、1mm単位での繊細のチューニングの重要性が高まり、このマニュアルで紹介するようなチューニングメソッドが出来上がっていきます。
*もし、あなたが手に入れた弓が最近のものではなく、1970年代までのビィンテージものなら、決して、ダイニーマ弦は使用しないでください。リムが破損します。ダクロン弦を使用してください。
ハンドルとリムを組み立てる
ハンドルにリムを差し込めば、デタントピン(コラム参照)がリムを固定してくれます。この時点でリムが外れることはありません。しかし、これだけでは正しく接合しているとは言えません。
写真の銀色のパーツがリムボルトです。金色部分はTスロットと呼ばれるものですが、この部分でリムを固定し、ます。そのうえでリムボルトとリムが接する角度によって、リムのポンドを変化させていく仕組みです。
写真左がリムボルトとリムが接している様子の断面です。リムは端っこがギリギリ、リムボルトに接している状態がそのリムとハンドルでの組み合わせの最低ポンドです。ここからリムボルトを締めていくと、ポンドが上昇します。しかし、最大でもリム面とリムボルト面が水平になる点までしか締め込んではいけません。写真右のようにリムボルトの端っことリムが接するまで締め込むとリムは故障してしまいます。保障対象からも外れてしまいますので、ご注意ください。
矢印のところに隙間が必要です。確認するための簡単な方法として、コピー用紙がこの隙間に1mmでも入っていけば問題ありません。あとでも触れますが、ホイットのリムはこの状態から2回転半リムボルトを緩めた位置で表示ポンドになります。それ以外のメーカーでは4回転緩めた位置を採用しています。
正しく接していても接合部分にはストレスがかかるので痕がつきます。装着痕と呼ばれるものですが、写真左のようにリムの先端につくのが正しい状態です。このように2点でリムボルトに接することによって、リムはバランス良く安定したハンドルと接合します。
写真上のようにリムのU字の部分よりも内側に食い込むように1点、1直線の装着痕の場合は正しく装着されていません。リムボルトが1点で、しかも、リムに食い込むように接合されているのでリムは安定せずに、使用するにつれ、ねじれていきます。