リカーブボウチューニング
前編 基本知識と静的チューニング

ブレースハイト・ティラーハイト・ポンド測定

ブレースハイト調整

リムアライメント調整が完了したら、次はブレースハイトの調整です。定義としてブレースハイトはピボットポイントと弦までの距離(レングス)です。数値化が難しい弓(リム)の曲がり具合を間接的に測定し、一定にするために用いられる数字です。

古くはフィストメル(fistmele)と呼ばれていました。19世紀の定義では、拳を上向きにした状態で弓の中心に入れ、親指をストリングの方へ向けて測定していました。フェースブックの「いいね」の距離です。この方法によって、自分の弓のブレースハイトを一定にすることは可能ですが、手のサイズは人それぞれなので、その長さは一定ではありません。

そこで使用されるのがTゲージというものです。この道具の登場で拳は必要なくなり、1968年AMO (米・アーチェリー製造者組合、現ATA)は、メーカーに対して、用語としてフィストメルの使用を停止して、ブレースハイトに一本するよう通知し、今に至ります。フィストメルゲージと呼ぶ先輩がいたら、きっと大ベテランです。

注意が必要なのは、一般的な設計のハンドルではブレースハイト(弓の曲がり具合)は定義のままですが、ハンドルがデフレックス・リフレックス設計の場合、ブレースハイトは、ピボットポイントの位置に影響されます。ブレースハイトは通常リム側に対して設定されていて、一般的なハンドルに装着される前提です。そのため、デフレックス・リフレックスハンドルに装着したときには、プランジャーの中心からブレースハイトを測定するという手法を取るほうが良いでしょう。

リムの望ましいブレースハイトには幅があります。通常付属するマニュアルにかかれています。振り幅があるのは、リムボルトの位置によって、リムの角度が変化するためです。そのために、1つの値を指定することで、1つの理想的なリムの曲がり具合を確定させることができません。

推薦値に幅がある中で、リムボルトを締めこんだ位置では低い方の値が、緩めた位置では高い方の値が、理論滋養適切なのでそこからチューニングをスタートさせましょう。

ティラーハイト調節

ブレースハイトの次はティラーハイトです。ハイトは高さという意味ですが、絵の弓をドローイングされた状態に固定している棒がティラー(The Tiller)という装置です。ちなみに、左上がフィストメルを測定しているところですね。

この状態からどう調節するかといえば、リムを削っていくのです。削ったところはハイト(高さ)が低くなり、全体のしなりを見ながら、弓の形状を整えていきます。ブレースハイト・ティラーハイト。どちらも2点間の距離なのに、レングス(長さ)ではなく、ハイト(高さ)と呼ばれる理由も、このように立てて、高さとして測っていたからです。弓をひくときには、ティラーから外して、手に持って引くので、ドローハイトではなく、ドローレングスと呼び方が変化します。

ティラーハイト自体はブレースハイトによって定まります。ここで大事なのは、上と下のティラーハイトの差です。ティラー差などと呼びます。

ティラー差は矢の飛び出し、矢に伝わる力のバランスを決めます。また、フルドロー時にそれぞれの指に加わる力のバランスも決めます。

しかし、この時点ではノッキングポイントもないので、とりあえず、2mm差としてください。これは下のティラーハイトが上のティラーハイトよりも、2mm低いことを意味しています。また、ティラーハイトが低いほど相対的にリムが強くことを意味していて、この場合は下リムが上リムより強いです。

経験上、40ポンドでティラー差が0の場合、1/2回転ほどで、程よい値になるので、上リムとしたリムで0.3-0.6ポンドほど違いになっていると推測されます。

ティラーの調整が終わったら、サイトやプランジャーなどを取り付け、ノッキングポイントを取り付けてください。ノッキングポイントの取り付け方法はYouTubeにある動画のほうがわかりやすいと思いますので、参考にしてください。ノッキングポイントの正しい位置はベアシャフトチューニングで決めるので、とりあえず、2mm上に設定してください。

ポンド測定

ここまで来たら自分の弓の引きの重さ(ドローウェイト)を知りましょう。このステップではポンドを測定する道具が必要ですので、用意するか、クラブ・協会の物を貸してもらうか、プロショップでも測定してくれると思います。

ドローウェイトがわかったら、リムボルトを回転せることで、自分が必要とする快適な値に調整してください。ティラー差をあわせてあるので、上下のリムボルトは同じ量回転させてください。調整可能範囲は「ハンドルとリムを組み建てる」をもう一度参照してください。その上で、最もリムボルトを締め込んだ位置からホイットは2.5回転、その他のメーカーは4回転が基本です。

ハンドルとリムが同じメーカーで3回転も調整できないなら、なにか問題が発生している可能性があります。異なるメーカーで3回転できない場合は相性が良くない(性能は低下しないが調整幅が低下する)ことを示しています。おおよそ、薄いリムを作っているメーカーのハンドルに、厚いリムを差し込んだ場合に起こります。

メーカーによっては、ハンドルにリムボルトを締め込んだ位置からの表記をしているところもありますが、こちらはあくまで自社のリムに対しての表記です。リムはメーカーによって厚みが異なり、異なるメーカーを組み合わせる、発売時期がずれているリムを合わせる場合には参考にできないので、上記のやり方をおすすめしています。

また、過去に日本で高いシェアを誇っていたヤマハは、設計時の最適なジオメトリー(コラム参照)を変更することで、ポンドを変更する仕組みを採用していました。(低い)ポンドでは弓が最適な性能を発揮ではない状態になります。

そのために、リムボルトの位置(ポンド)を変更すると弓の性能が変化していました。そのことをまだ覚えているアーチャーの中には、今でも、リムボルトの位置の変更に抵抗感がある方がいます。特に表示ポンドよりポンドを上げる方に。ただ、あなたの使用している弓がヤマハの弓のように調整によってジオメトリーが変化する弓ではない限り、そういったことは起こらないので安心してください(*)。しかし、その方が偉いOB/OGなら論破はしないことをおすすめします。あまり幸せになれません。

*ポンドを上げる/下げることで絶対的に性能が変化することはないだけであり、自分の感覚や体力・矢のスパインなどが合わなくなり、相対的にグルーピンクが悪くなることは当然あります。